殿下が衝撃的にこの世を去ってもうすぐ(3か月後)4年になろうとしている。
もちろん、ファンクにとどまらない巨大な音楽的才能(映画の才能はあまり無かったらしいが)を世界中に向けてダダモレさせていた不世出の天才、プリンスその人のことである。
いまだにその死が信じられない、と言いたいところだが、ワタシもこの歳(今年で55、信じられない)になれば、「人間、死ぬときは死ぬわな」などと達観ともアキラメともつかぬ心境になっている。
それはともかく、ワタシは90年代後半以降のプリンスは全く聴いていなかった。
95年の『ゴールド・エクスペリエンス』を最後に殿下に見切りをつけてしまったのだ。
89年の『バットマン』のメガヒット以降の彼の音楽に、勢いも緊張感も感じられなくなった気がしていたからだ。(92年の『ラヴ・シンボル』はまあまあ良かったけど。)
21世紀に入ってからも、殿下が精力的に新作を発表していたのは知っていたけれど、興味は湧かなかった。
なんだかジャケットもやけにチープなデザインになっていたし……。
殿下の死後、各音楽雑誌の追悼特集でのディスコグラフィーを読んで21世紀盤に興味がわき1、2枚購入してみようと目論むも、非常に手に入りにくいことを知った。
中古盤に異常な高値が付けられていた。
ついこの間、正月休みも終わろうかという時に、プリンスの21世紀作品が再発されていたのをAmazonでたまたま目にした。
早速試聴。
………
バカだった。オレはバカだった。
なんでこれらをリアルタイムで聴かなかったんだ……。
すごいじゃないか、プリンス!!
最高傑作なんじゃないかというくらいの高密度の作品が次から次と…。
すぐさま、とりあえず5作品を(もちろんカミサンには内緒で)購入。
『The Rainbow Children』
『Musicology』
『3121』
『Planet Earth』
『20Ten』
まだ十分に聴き込んでいないので、詳しくレビューすることはできないが、どれもこれも素晴らしい出来だということは分かる。
はっきり言って、80年代の全盛期の作品群よりも数段進化している。
これまでプリンスの最高傑作は(と言っても3枚.笑)、
『CONTROVERSY』 (邦題:『戦慄の貴公子』)
『1999』
『LOVESEXY』
だと思っていたが、改めねばなるまい。
21世紀に入ってからも殿下は真摯過ぎるほどに音楽に向き合って、極上の作品群を連発していたのだ。
音の一粒一粒が磨き抜かれている。
相変わらず心地のいいBEAT。
無駄な音など一つも無く、それでいて豊かな音像世界。
そのクォリティ―はスティーリー・ダンをとっくに凌駕している。
いや、Jazzでさえも超えているのではないか。
ワタシが年を喰ったせいかもしれないが、大人のプリンス、大人のRock、大人のFunkがやたら気持ちいいのである。
ありがとう、殿下!
そしてもう少しでも長生きしてほしかった。
今更ながら、(再び)追悼…。