Good Old Music 、Fantastic高校野球

林業家kagenogoriが70's~80'sの珠玉の音楽、そして高校野球、etc.についてのたまうブログ

ウララカ&ボンヤリな春にオススメの洋楽~”春の宵闇”編

ナイト・イン・ニューヨーク

 

 

 

 

 エルボウ・ボーンズ&ザ・ラケッティアーズ

『ナイト・イン・ニューヨーク』

 

 

 あとひと月もすれば桜前線の話題がニュースを賑わすんでしょうな。

 待ち遠しい。

 

 ”春はあけぼの” なんて言葉もありますが、ワタシが春で一番好きな時間帯は宵の口あたり。夕暮れ時から宵闇が迫る頃

 それも花見のシーズンが始まりそうな時期がいいですな。

 まだ薄ぼんやりと空の朱さが残り、花見用のぼんぼりがポツポツと灯る頃。

 生暖かさと夜の冷気が混じり合うなか、夜桜見物への期待感を含んだ、ザワザワとした街の空気感。

  唐突ではあるが、そのような「春の宵」に聴きたい音楽が、ニューヨークの伊達男、エルボウ・ボーンズが解き放つ『ナイト・イン・ニューヨーク』

 ウキウキと心が浮き立つリズム。

 ゴージャスなホーン・セクション。

 甘くささやく男女のVocal。

 そして何と言っても全曲口ずさみたくなるキャッチ―(死語?)な曲満載という奇跡の贅沢さを誇るアルバムなんである。

 これを聴かずには始まらないし、終わらない。

 

 

 

 

シャカタク

『ナイト・バーズ』

 

NIGHT BIRDS

NIGHT BIRDS

  • 発売日: 2017/01/16
  • メディア: MP3 ダウンロード
 
ナイト・バーズ+1(紙ジャケット仕様)

ナイト・バーズ+1(紙ジャケット仕様)

 

 

『インヴィテイション』

 

INVITATIONS

INVITATIONS

  • 発売日: 2017/01/16
  • メディア: MP3 ダウンロード
 
インヴィテイションズ(紙ジャケット仕様)

インヴィテイションズ(紙ジャケット仕様)

 

 春の夜と言えばやっぱり『ナイトバーズ』だね。

 ロンドン発のこういった音楽を、当時は(現地の呼び名に合わせて)カッコつけて”Jazz Funk”なんて言ってたが、ようするにフュージョンである。

 でもコレを嫌いな人なんて多分いないんだろうな。

 卓越したメロディラインと細かく刻まれるリズム。

 ”粒のそろった音”が流れるような圧倒的キーボードプレイ。

 

 『インヴィテイション』(商品名はインヴィテイションとなっているが当時は『インヴィテイション』だった気がする)は、””だけでなく”温かな午後”に聴いてもハマる作品。

 「ロンリー・アフタヌーンという美名曲もあるしね。

 

 

 

ティーヴィー・ウッズ

『スティール・ザ・ナイト』

 

スティール・ザ・ナイト(生産限定紙ジャケット仕様)

スティール・ザ・ナイト(生産限定紙ジャケット仕様)

 

 

 正直それほど知名度があるヒトでもないんだが、初めて聞いた人はそのクォリティの高さに驚くハズ。

 見ての通り黒人アーティストなのだが、その音楽はまさに春の柔らかな陽光のようなAOR

 POPなメロディにキラキラしたサウンド

 黒人アーティストらしい歯切れのいいVocalとグルーヴ感。

 不当に評価が低いと思うのはワタシだけなんだろうか?

 

 

 

 

マーヴィン・ゲイ

『ミッドナイト・ラヴ』

 

ミッドナイト・ラヴ(レガシー・エディション)

ミッドナイト・ラヴ(レガシー・エディション)

 
ミッドナイト・ラヴ(期間生産限定盤)

ミッドナイト・ラヴ(期間生産限定盤)

 
【Blu-spec CD】ミッドナイト・ラヴ

【Blu-spec CD】ミッドナイト・ラヴ

 
ミッドナイト・ラヴ

ミッドナイト・ラヴ

  • 発売日: 2014/11/21
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

  実はコレ、季節にカンケーなく聴けるのだが、ワタシはなぜか春に聴くのが好きである。

 

 モータウン時代の『ワッツ・ゴーイン・オン』『レッツ・ゲット・イット・オン』といった”優しく包み込む”ような作品も素晴らしいが、

 

CBSに移籍後発表された本作『ミッドナイトラヴ』は、本当はこういうことがやりたかったんだろうな」と誰もが納得してしまう充実ぶり。

 一曲目の「ミッドナイト・レディ」でいきなり度肝を抜かれ、2曲目のメガヒット・バラード「セクシャル・ヒーリング」で身も心もとろけさせ、そのままイキオイで聴かせ切る。

 マーヴィン・ゲイの才能ほとばしる、渾身の大傑作。

 その不幸な死はいまだに受け入れがたい。

 

 

 

   

ルーサー・ヴァンドロス

『Forever,For Always,For Love』

 

Forever, for Always,..

Forever, for Always,..

  • アーティスト:Luther Vandross
  • 出版社/メーカー: Epic
  • 発売日: 2002/02/04
  • メディア: CD
 

 

 ルーサー・ヴァンドロス圧倒的最高傑作、と個人的には思う。

 彼の”黒っぽさ”が最も発揮された作品。

 ”甘美””官能” 、そして”黒っぽさ”

 音楽にそれを求めているのなら、これを聴けばいい。

 もちろん彼のスウィートな歌声は春にピッタリ。

 

 

 

 今回の記事を書いていて気付いたコトがある。

 ここで紹介したのはなんと全て、ワタシが高校2年~3年だったときに小遣はたいて買ったモノばかり。

 ’82~’83年にかけてかな。

 ええ、受験戦争の真っただ中でした(笑)。

 個人的にナニカ思い入れでもあるんだろうか(笑)。

ウララカ&ボンヤリな春にオススメの洋楽

アナザー・ページ(紙ジャケット/SHM-CD)

 いやぁ~、暖かい。

 こういう日は山仕事(林業してても気持ちがいい。

 は確実に近づいておりますな。

 というかすでに (笑)。

 

 

クリストファー・クロス

『アナザー・ページ』 

 

アナザー・ページ <SHM-CD>

アナザー・ページ <SHM-CD>

 

 

 グラミーを獲った前作デビューアルバム『南から来た男』が””なら、はこれ。

 曲の良さは保証付き。

 シルクのようなメロディ。

 シルクのようなVocal。

 春の優しい日差しのなか、コレを聴きながら畳の上で寝転び、たゆとうていたい(笑)。

 

 

 

 

マイ・ブラディ・バレンタイン

『愛なき世界』 

 

愛なき世界

愛なき世界

 

 

 歪んだノイズなんだかギターなんだかよく分からん(笑)音を重ねて織り上げたようなサウンド

 このアルバムはもう30年近く聴き続けてきて大好きなんだが、こういうのをRockのジャンルのひとつとしてシューゲイザーというのだそうである。

 つい最近知った(笑)。

 つかみどころのない”甘美な浮遊感”  はそのもの。

 

 

 

ドゥービー・ブラザーズ

『ワン・ステップ・クローサー

 

 

ワン・ステップ・クローサー

ワン・ステップ・クローサー

 
One Step Closer

One Step Closer

  • 発売日: 2005/05/18
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

 ドゥービーズにしか出せない”チャキチャキ・ギター・サウンド  はすっかり影をひそめ、マイケル・マクドナルド流のAORバンドと化してしまった最後のアルバム。

 その後再結成しやがったが(笑)。

 基本、ドゥービーズのアルバムはどれも向きではあるのだが、その中で一番春向き といえば、ワタシはこれを推す。

 春のキラキラした陽光を思わせるメロディとサウンド、その確かさ。

 そして柔らかく温かなマイケル・マクドナルドのVocal。

 ジャケットもなんとなく春の日の出っぽい(笑)。

  

 

 

エリック・クラプトン

『マネー&シガレッツ』 

マネー・アンド・シガレッツ

マネー・アンド・シガレッツ

 

 

  キホン的にブルース・ロックなんだけど、初心者の人でも聴きやすいPopさ加減。

 なによりも熱過ぎない(暑苦しくない)感じ、リラックスした感じがにピッタリ。

 

  

 

 

ザ・スミス

ザ・スミス

 

ザ・スミス

ザ・スミス

 
The Smiths

The Smiths

  • 発売日: 2011/09/26
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

  

 ってとっても気持ちのいい季節なんだけど、反面、ナンダカわけのわからないボンヤリとした不安に包まれるコトってないです?

 その「ボンヤリした不安」をそのままRockにした(笑)のがザ・スミスのメジャー・デビューとなったコレ。

 「ディス・チャーミング・マン」

 「ユーヴ・ガット・エヴリスィング・ナウ」

といったギタリストジョニー・マー節炸裂ノリノリアップテンポ・キラーチューン(踊れないワタシでさえ踊れそうな錯覚をするくらい.笑)もいい。

 しかし春に聴くべきは何と言っても1曲目の

 「リール・アラウンド・ザ・ファウンテン」

と、ラストの

 「サファー・リトル・チルドレン

、スローテンポの2曲なのである。

 この”なんだかよく分からん世界観” 、そして”ボンヤリした不安感”

 まさに(笑)。 

『海獣の子供』Blu-rayが届いた

 窓の外はいま、雪がちらついている。

 ここ金沢でも久しぶりの雪。

 

 いま海獣の子供サントラを聴きながらこれを書いている。

 久石譲の音楽はいつも、美しく、優しく、温かい。

 星屑のようなサウンド

 

「海獣の子供」オリジナル・サウンドトラック

「海獣の子供」オリジナル・サウンドトラック

  • アーティスト:久石譲
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2019/06/05
  • メディア: CD
 

 

「海獣の子供」 (オリジナル・サウンドトラック)

「海獣の子供」 (オリジナル・サウンドトラック)

  • 発売日: 2019/06/05
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

 映画館で観ることが叶わなかった劇場版『海獣の子供を、約半年遅れで我が家で観ることができた。

 細部で原作と異なる部分があったりしたが全く気にならない。

 やはりスゴイ作品ダ、これは。

 

海獣の子供【通常版】Blu-ray

海獣の子供【通常版】Blu-ray

  • 出版社/メーカー: DMM pictures
  • 発売日: 2020/01/29
  • メディア: Blu-ray
 
海獣の子供【通常版】DVD

海獣の子供【通常版】DVD

  • 出版社/メーカー: DMM pictures
  • 発売日: 2020/01/29
  • メディア: DVD
 

   

 ストーリーが素晴らしいのは当たり前として、特筆すべきはその映像のスゴさ。

 五十嵐大介原作だから手を抜けなかったのはわかるが、ソコマデヤルカというくらい、予想以上、期待以上。

 

 画面に映るすべてのモノに生命が宿っている。

 

 画面に映るすべてのモノが、より大きな生命(地球?宇宙?)の中の濃密な空間のなかで生かされている。

 

 そんなことを思わせる圧倒的映像美

 これはボクにとって新しい宝物になった。

 

海獣の子供【完全生産限定版】Blu-ray

海獣の子供【完全生産限定版】Blu-ray

  • 出版社/メーカー: DMM pictures
  • 発売日: 2020/01/29
  • メディア: Blu-ray
 

 

 

 

 「一番大切な約束は言葉では交わさない」

 

 この映画のなかでは様々なコンセプト哲学が明確に、あるいは暗に語られるが、もっとも重要で象徴的なキーワードがこれだろう。

 

 また、作中ではクジラたちの「ソング(歌)」について、

 「我々人間は、うまく”言葉”にできなければと思っていることの半分も伝えられない。 けれどクジラたちは、見たことや感じたことをそのままの”形”で伝え合っているのかもしれない。」

ということも言っていた。

 

 映画の方では無かったけど、漫画(原作)の方では、

 

 「言葉で話すと、言葉にならないことはないことになっちゃうでしょ? だったら言わないほうがいい」

 

といったセリフがあった。

 

海獣の子供 全5巻完結セット (IKKI COMIX)

海獣の子供 全5巻完結セット (IKKI COMIX)

 

 

 

 同じく五十嵐氏の名作『魔女』第2集の中の「ペトラ・ゲニタリクス(生殖の石)」でも、

 

魔女 (2) (IKKI COMICS)

魔女 (2) (IKKI COMICS)

 

 

”魔女”が(「権威・権力」の象徴である)聖職者たちに向かって

 

 「あなた達の世界は”有限”。 ……あなた達の言葉は、ありとあらゆる可能性を特定の性質に切り分けるナイフ。 自分達の都合のいいように世界を刻む道具。」

 

 「わたし達の世界は”無限”。……わたし達は世界をあるがままに見る。」

 

と言っている。 

 

魔女 (1) (IKKI COMICS)

魔女 (1) (IKKI COMICS)

 

 

 

 『言葉』で言い尽くせなかったこと、そして『言葉』で切り取った以外の部分や、『言葉』の意味から漏れたコトは言わなかったことになってしまう。

 

 あるひとつの事象を、『言葉』に変換して捉えている限り、その事象の本質や全体像はつかめないし、『言葉』で伝えることができるのもその事象の一部にしか過ぎない。

 

 そういうことなのだろう。

 

 例えばひとつのリンゴを表す言葉として

アップル, 銀行, 塞ぎます, 健康, ビタミン, 赤, 熟した, フルーツ

  赤い

  丸い

  甘酸っぱい

  果物

  中心に種がある

  etc.

があるとして、逆にこれらの”言葉だけ”を以てそのリンゴを完全に再現できるのかと言ったら、それは絶対に不可能だ。

 たとえ言葉を一万個並べようとも。

 ”言葉の有限性”とはそういうことだ。

 

 作中では、クジラの「ソング」が、頭の中にあることを”言葉”ではなく、”そのまま”伝えている可能性について触れていたが、実は「気持ちが通じ合う」ということはそう言う事なんじゃないか、とも思う。

 それは、動物同士のあいだでも、動物と人間のあいだでも、人間同士のあいだでも。 

 

 

 

 突然だが、かく言うボクはイカと心を通じ合わせたことがある。

 あの、イカである。海に棲んでる。

 さあ、笑ってくれ(笑)。

 でも、これはホントのハナシ。

 家族にも言ったことはないけど、ここで初めてヒトに明かす。

 決して笑わせるためではないのだが(笑)。

サムネイル画像

 子供たちがまだ幼かった頃、家族で名古屋旅行に出かけた折、名古屋港水族館に行ったときのハナシ。

 ガラガラ、というわけでもなかったが、客足は空いていて、余裕をもって一つ一つを見ることが出来た。

 イカの展示のところで足を止めた。

 家族はもうずっと先の方に行っている。

 見ると何の変哲もない、普通のイカ

 でも美しいと思った。

 ふとそのイカと目が合った気がした。

 ナニカ親近感のようなモノを感じつつ、そのまま目をそらさずにいると、イカがコチラに近づいて来て窓を挟んで向かい合う形に。

 イカが足をこちらに向けてゆらゆらと、揺らめかせている。

 ”美しい。きれいダヨ。”

 と心のなかで語りかけた瞬間だった。

 イカが突然、虹のように七色に輝きだしたのだ。

 驚いた。

 生き物のこれほど美しい姿は初めて見た。

  あとになって思えば、他の客がその時どうしていたのか不思議だったが、そのときは気にならなかった。

 尚も、”きれいダヨ、きれいダヨ”とこころの中で思い続けていると、イカも応えるように七色のグラデーションを、まるでネオンサイン(古いね…)のように波打たせてくる。

 このとき、確かにイカ心が通じ合っている”実感”が、ボクにはあった。

 数分間、一対一でそうしていたように思う。

サムネイル画像

 幸せな時間だった。

 でもそこからが、ボクのダメなところ。

 心の中のトリックスターが、よせばいいのにアタマをもたげたのだ。

 ついイタズラ心で「でも刺身にするとうまそうだな」と思ってしまった。

 と、その瞬間、イカ真っ黒に変色して、一瞬で奥に逃げ去ってしまったのだ。

 ボーゼン。

 ボクの中ではいまだに、イカを裏切ってしまったような気持ちが残っている。スマン……。

 

 というわけなのですが、どうですか。笑えましたか(笑)。

 まあ、信じる信じないはアナタの自由なのですが(笑)。

 

 しかし思い返してみれば、ボクは子供の頃から生き物、とりわけ小さい生き物に対していつも語りかけていた気がする。

サムネイル画像

 友達がいないワケではなかったのだが(笑)。毎日草野球で忙しかったし。

 それに昔から動物や小さい子供たちには、やたらなつかれていた気がする。

 それはともかく、いまでも仕事中(林業なので仕事場は主に山の中)には、昆虫やカエルなどの出会った生き物に語りかけるということをフツーに日常的にしている。

木のカエル, カエル, 自然, マクロ, 緑, 両生類, 動物

 ときどきそれが声に出てしまっているようで、「え?ムシに話しかけてんの?」と仕事仲間に苦笑いされたこともある。

クワガタ, カブトムシ, 偉大なクワガタ, 昆虫 

 海獣の子供の話から、ナンダカヘンなハナシになってしまったけど、まあ、笑っていただければ(笑)。

  

21世紀のプリンス、その凄み

 殿下が衝撃的にこの世を去ってもうすぐ(3か月後)4年になろうとしている。

 もちろん、ファンクにとどまらない巨大な音楽的才能(映画の才能はあまり無かったらしいが)を世界中に向けてダダモレさせていた不世出の天才プリンスその人のことである。

Purple Rain [Explicit]

 

 いまだにその死が信じられない、と言いたいところだが、ワタシもこの歳(今年で55、信じられない)になれば、「人間、死ぬときは死ぬわな」などと達観ともアキラメともつかぬ心境になっている。

 

 それはともかく、ワタシは90年代後半以降のプリンスは全く聴いていなかった。

 95年『ゴールド・エクスペリエンス』を最後に殿下に見切りをつけてしまったのだ。

 89年バットマンのメガヒット以降の彼の音楽に、勢いも緊張感も感じられなくなった気がしていたからだ。(92年ラヴ・シンボルはまあまあ良かったけど。)

 

Batman [Explicit]

Batman [Explicit]

  • 発売日: 2007/01/30
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

[Love Symbol] [Explicit]

[Love Symbol] [Explicit]

  • 発売日: 2014/10/08
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

  21世紀に入ってからも、殿下が精力的に新作を発表していたのは知っていたけれど、興味は湧かなかった。

 なんだかジャケットもやけにチープなデザインになっていたし……。

 

 殿下の死後、各音楽雑誌の追悼特集でのディスコグラフィーを読んで21世紀盤に興味がわき1、2枚購入してみようと目論むも、非常に手に入りにくいことを知った。

 中古盤に異常な高値が付けられていた。

 

 ついこの間、正月休みも終わろうかという時に、プリンス21世紀作品が再発されていたのをAmazonでたまたま目にした。

 早速試聴。

 ………

 

 バカだった。オレはバカだった。

 なんでこれらをリアルタイムで聴かなかったんだ……。

 すごいじゃないか、プリンス!!

 

 最高傑作なんじゃないかというくらいの高密度の作品が次から次と…。

 すぐさま、とりあえず5作品を(もちろんカミサンには内緒で)購入。

 

 

 『The Rainbow Children』 

The Rainbow Children

The Rainbow Children

  • 発売日: 2018/08/17
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

 

 『Musicology』 

Musicology

Musicology

  • 発売日: 2018/08/17
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

 

 『3121』 

3121

3121

  • 発売日: 2018/08/17
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

 

 『Planet Earth』 

Planet Earth

Planet Earth

  • 発売日: 2018/08/17
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

 

 『20Ten』 

20Ten

20Ten

  • 発売日: 2018/08/17
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

 まだ十分に聴き込んでいないので、詳しくレビューすることはできないが、どれもこれも素晴らしい出来だということは分かる。

 はっきり言って、80年代の全盛期の作品群よりも数段進化している。

 これまでプリンスの最高傑作は(と言っても3枚.笑)、

 

 『CONTROVERSY』 (邦題:戦慄の貴公子』) 

Controversy [Explicit]

Controversy [Explicit]

  • 発売日: 2011/08/08
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

 『1999』 

1999 [Explicit]

1999 [Explicit]

  • 発売日: 2011/08/08
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

 『LOVESEXY』 

Lovesexy [Explicit]

Lovesexy [Explicit]

  • 発売日: 2011/08/08
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

だと思っていたが、改めねばなるまい。

 

 21世紀に入ってからも殿下は真摯過ぎるほどに音楽に向き合って、極上の作品群を連発していたのだ。

 

 音の一粒一粒が磨き抜かれている。

 相変わらず心地のいいBEAT

 無駄な音など一つも無く、それでいて豊かな音像世界。

 そのクォリティ―はスティーリー・ダンをとっくに凌駕している。

 いや、Jazzでさえも超えているのではないか。

 

 ワタシが年を喰ったせいかもしれないが、大人のプリンス、大人のRock、大人のFunkがやたら気持ちいいのである。

 

 ありがとう、殿下!

 そしてもう少しでも長生きしてほしかった。

 今更ながら、(再び)追悼…。

  

猫とコーヒー、時々ビル・エヴァンス

 今朝早起きして熱いコーヒーを飲みながら本を読んでおりました。

サムネイル画像

 

 膝の上にはスヤスヤと眠る

 

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ウチのまる君です)
  暗い部屋の中、卓上ライトスタンドの暖かい光に照らされるコーヒーの湯気眠る

 猫を膝に乗せた状態でコーヒーを飲みつつ本を読む、というのも実はナカナカツカレルものなんですが、この情景には我ながらちょっとしばらく見入ってしまいました。

サムネイル画像

 ワタシはスマホというものを持ってません(笑)ので、この絶景を写真に収められないのがモドカシイ。

 

 こういうシチュエーションで聴きたくなるのはやはりジャズ

 と言ってもジミー・スミスでないことは間違いない(笑)。*1

 ここはやはりピアノですな。

 

 今日聴いていたのはビル・エヴァンス

 

 皆さんご存知の『ワルツ・フォー・デビー』(超絶名演「マイ・フーリッシュ・ハート」収録)や、 

ワルツ・フォー・デビイ

ワルツ・フォー・デビイ

  • 発売日: 2007/04/25
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

グリーン・ドルフィン・ストリート(正確には『オン・グリーン~』。サイドにフィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)、ポール・チェンバース(b)を得た名盤。美しいジャケットはもはや芸術) 

On Green Dolphin Street

On Green Dolphin Street

  • 発売日: 2015/02/11
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

なんかもいいけど、やはりに合う(?)のは『アローン(アゲイン)』でしょう。 

 言わずと知れたソロ・ピアノの歴史的超名盤。

アローン(アゲイン)

アローン(アゲイン)

  • 発売日: 2006/11/10
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

 ”(アゲイン)”ということは、当然その前にただの『アローン』があったわけで、一般に(というより評論家の)評価が高いのはソッチの方だったりするんだけど、ワタシは正直『アローン』の方はそれほど好きではないデス。

  演奏が硬質ガラス的過ぎて。

ALONE

ALONE

  • アーティスト:BILL EVANS
  • 出版社/メーカー: VERVE
  • 発売日: 2008/01/14
  • メディア: CD
 

 

 それはともかく、何故『アローン(アゲイン)』が猫(とコーヒー)に合うのか?

 

 それは、『アローン(アゲイン)』にはエロティシズムが、そこはかとなく漂っているから。

 

 個人的意見かも知れないけど、ってなんとなくエロティックな感がしません?

 あのしなやかな肢体と身のこなし、そしてツンデレな感じとか。

 女性っぽいといえば女性っぽいんだけど、あえていえば峰不二子的な(笑)。

サムネイル画像 

 それはともかく、『アローン(アゲイン)』を聴くにつけて、ワタシたちは「女性の神秘」*2にも似た「奥底に秘められたナニカ」を感じてしまうのでアリマス。

 

 それに加えてビル・エヴァンスの超絶的に速い指先から奏でられながらも、コロコロと粒の揃った音には「官能」以外の言葉など当てはまりませぬ。

 

 暗い部屋での読書。

 膝の上には猫。

 傍らにはかぐわしい湯気を立てる珈琲。

 

 『アローン(アゲイン)』がピッタリでしょ?

Alone Again

*1:ジミー・スミス:主に'50年代から'60年代にかけて大活躍したジャズ・オルガン奏者ファンキーかつグルーヴィーかつ歯切れの良いスピード感溢れる超絶技巧の演奏で人気を博した。意外と歌心もアリ。

*2:ユングの女弟子であり深層心理の大家であるエスター・ハーディングに同タイトルの名著がある。

12月9日は「山祭り」

 今日12月9日、ワタシたち林業関係者は「山祭り」でお休みです。

 

 「山祭り」って何?

 正直ワタシも詳しく知っているワケではないのですが(笑)、山の神様一年間の感謝を捧げ、これ以降になるまで山に入って仕事はしませんと(神様に)報告するお祭だと理解しておりマス、おぼろげながら(笑)。

 

 昔は本当にこの日以降、冬の間は山に入っての仕事はしなかっそうです。

 そして「春」のはじまりである3月9日にまたお祭りをとり行い、それ以降また冬(12月9日)になるまで山仕事をする、というサイクルだったそうです。

木, 株, ログイン, ような, Holzstapel, 塞ぎます, 断面

 ワタシがまだ新米だった頃の、老師匠に聞いたハナシです。

 

 この「山祭り」という風習(?)が全国的にあるものなのか、それともこの地方特有のものなのかは、よく分かりません。

 またいつの頃からの風習なのかも、全く分かりません。

 興味深いテーマではあります。

 いつか詳細に調べてみたいものデス。

 

 それはともかく、現在では「山祭り以降冬のあいだは山仕事をしない」といったことは全くなく、この日だけ山仕事を休み、翌日からまたフツーに山に入って仕事をします。

林業, インベントリ, 林業作業, フォレスト, 木, 木立, ケース, 見た, 労働者, チェーンソー

 何といっても樹木の「伐り旬(きりしゅん*1ですので。

森林, 木の幹, 木, ログ, 環境, 冷, 冬, 雪, 木材, 林業, 荒野 

 それにワタシは、山仕事ではが一番スキです。

 山の中を深い雪をかき分けながらする仕事は、

雪に埋もれた木々の写真

多分に危険も伴い、また体力もいつも以上に消耗したりもします。

 が、やはり冬の山、冬の森は美しい

雪で白く染まった森の木々の写真

 それに空気も冷たいけど澄み切っててオイシイし、蚊やブト(ワタシたちの地方ではブヨのことを”ブト”と呼びます)などのイヤな虫もいませんので。

 

 たしかに早春の芽吹く頃から新緑にかけてや、

新緑と木漏れ日の写真

晩秋の紅葉から落ち葉の時期も美しく楽しいものです。

赤く色づくモミジの写真栗駒山の紅葉の写真

 

枯葉色

 

 しかし真冬の一面真っ白の銀世界となった雑木林

日で輝く樹氷の写真

で、快晴となった日に葉がすっかり落ちた枝越しに見上げる真っ青な空

霧氷, 冬山, 青空, 静寂, 静けさ

 これほど美しいものはないこともまた確かなのデス。

 

*1:野菜などの作物にもそれぞれの「旬」があるように、木材となる樹木にも”収穫”に適した「旬」があります。一般に、木が水を吸い上げない冬が、樹幹に余分な樹液やヤニが少ない「旬」の時期と言われておりマス。

自然を相手にする仕事

 ワタクシkagenogoriは、林業を生業にしております。

 仕事場といえばほぼ山の中森の中

風景, 森林, 秋, 黄葉, 太陽光, 光芒, ブナの原生林, 白神山地

 ときには死亡事故さえ発生する危険な仕事ではありますが、仕事上のストレスという点では、他の仕事よりは格段に少ないように思いマス。

 何と言っても大自然のなかで仕事ができるんですから。

 ただ、危険だということを除けば楽しいバラ色の仕事なのかといえば、そうでもないのデス。

 

 昨日仕事中に悲しい、というかちょっとショッキングな出来事がありました。

 いまの仕事の現場となっている山中に、立ち枯れて腐ってしまってからかなり年月が経っているであろう一本の木。

 おそらくコナラの木と思われますが、そのままではいつ倒壊してしまうか分からず、大変危険な状態でした。

 そこで仕事をする以上、真っ先に伐らなければならない状況。

 ワタシは迷わず、その立ち枯れ木をチェンソーで伐倒しました。

サムネイル画像

 ヤレヤレと思いながら倒した木をいくつかに玉切りして片付けていたところ、足元になにやら小刻みに震えている小さなモノ。

 ヒメネズミです。

木マウス, Nager, かわいい, 小, 茶色, マウス, 自然, 哺乳類

 目をつぶって小さくボール状に丸まっています。

 ピンポン玉よりも小さな生命。

 体毛は生えそろっていますが、おそらくまだ子供なのでしょう。

 かわいいといえば、こんなにかわいらしい生き物はいない。

 それが今、ワタシの片手の上で、寒さのせいなのか恐怖のせいなのか、目を閉じたまま震えている。

 間違いなく、ワタシが倒した木のウロに作られた巣から放り出されたのです。

マウス, 齧歯動物, かわいい, 哺乳類, Nager, 自然, 動物 

 同じく巣から放り出された親ネズミも近くにいるに違いありません。

 しかしワタシたちがそこを”仕事場”としている以上、親ネズミが子供を救いにその場に姿を現すことはないでしょう。

 仕方なくワタシは子ネズミを、範囲外にあるナラの木の根元に、たくさんの落ち葉にくるんで置いておきました。

「どんぐりと落ち葉」の写真

 もし親ネズミがそこに気付けば、子ネズミを新しい巣へと運んでいけるように。以前同じような状況で親ネズミがせっせと子ネズミたちを運んでいるのを見たことがあります。

 ただし今回の場合は、親ネズミがその子ネズミの存在に気付く可能性は低いように思いました。

 しかし仕事中だったワタシにはそうすることしかできないのです。

 それぐらいのことしかできないのです。

 

 しばらくするともう一匹、近くで別の子ネズミが死んでいるのを見つけました。

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 仕事中だったワタシは素早く別の木の根元に小さな穴を掘り、埋めました。

 すまん、許せ。と言いながら。

 

 考えるまでもなく、ワタシ達の仕事(林業)は常に生き物の殺生にかかわる仕事です。

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 夏場の草刈では、刈られた草木はすぐに回復するでしょうが、昆虫をはじめとする実に多くの生き物は、自分たちが気付かないだけで、その命や棲みかを奪っているにちがいありません。

サムネイル画像サムネイル画像 

 一本の木を倒すとき。

 その木の命を奪うだけではなく、その木には「生態系」といっていいほどの様々な生き物が暮らしているものです。

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 長い間この仕事を続けているとマヒしてしまいそうになりますが、この仕事は多くの(食料にするわけでもない)生き物の殺生にかかわることから逃れられない仕事でもあるのです。

 

 そのような自覚があるとき、ワタシはいつも一つの言葉を心の中でつぶやきながら仕事をしています。

 「すまん、ゆるせ

 草木を刈るとき。

 一本の木を伐るとき。

 一日中この言葉を心の中で呟きながら仕事するときもあります。

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 命や棲みかを奪われる生き物たちにとって、「すまん、ゆるせ」と言ったからといって、なんの慰めにもならないことは百も承知。

 しかしワタシにはそうすることぐらいしかできない。

 

 このような考えは、同業者からすれば「甘い」の一言なのかもしれませんが。

 しかし、生き物の殺生にかかわっているという自覚だけは持ちつづけていたい。

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