Good Old Music 、Fantastic高校野球

林業家kagenogoriが70's~80'sの珠玉の音楽、そして高校野球、etc.についてのたまうブログ

珠玉の70's・80's Japanese Pops & Rock (1)SUMMER MUSIC~夏のPops選

 70’s~80’sの日本のPopsをこよなく愛するkagenogoriオヤジです。

 前回まで、夏向きの洋楽を二回にわたってご紹介しました。(「夏にピッタリ!珠玉の洋楽Popsナンバー」「真夏に汗かきたい人オススメ!珠玉のロックンロール・ナンバー ベスト選」

 しかし実は夏向きの音楽というのは、むしろ日本で多く作られているのですね。

 というわけで、今回は70年代から80年代にかけて日本の夏を素敵に演出してくれたSummer Musicを紹介したいと思います。例によって本文中は「ですます調」をかなぐり捨てます(笑)。

 

南佳孝 『South Of The Border』

南佳孝 SOUTH OF THE BORDER [Blu-spec CD2]バージョン 吉田 保リマスタリングシリーズ タワーレコード限定盤

 

  

 まずはこれですな。日本のPops史にサンゼンと輝く超名盤。日本においては、いまだにこれ以上のクォリテイを持ったアルバムに出会ったことがない。

 これはひとえに、南佳孝の楽曲の素晴らしさと坂本龍一の凄みさえ感じるアレンジによるもの。

 南国リゾートへと誘うかのようなレイジーなメロディー。かと思えば爛熟しきった果実のごとく、暑く寝苦しいねっとりした南国の夜を思わせる旋律。

 前者の代表が「プールサイド」「日付変更線」、後者の代表が「常夜灯」「ブルー・メロディー」

 だが特に、坂本龍一がほとばしる才能を見せつけるのは、この「常夜灯」「夜間飛行」。教授の「天才」が炸裂するアレンジとピアノ(アコースティック&エレキ)プレイには、「陶酔」という言葉しか見当たらない。

 南佳孝は夏モノの傑作が多い。

 つづいては『忘れられた夏』 『South Of The Border』の前作にあたる。

忘れられた夏

 

忘れられた夏

忘れられた夏

 

  

 ここでは佐藤博のアレンジとキーボードが光る。

 光の粒を転がすようなような、あるいは光の一粒一粒まで描いたような音世界。

 出色は「ブルーズでも歌って」「静かな昼下り

 前者は大人のクールな世界観に酔いしれるジャジーなナンバー。

 後者を覆っているのは「静謐」な時間と空間。なにか自分も見たことがあるような真夏の昼下がりの情景。「あの頃、あの場所に帰りたい」という甘い錯覚に陥りそうなデジャヴ空間に、軽いめまいさえ覚える。

 あとアルバム収録曲ではない(収録されているベスト盤はある)が、 羅針盤も、南の海を貿易風に吹かれながら航海しているかのような気分を満喫させてくれる、サマー・ミュージックの逸品。

 

 

 

 

佐藤博 『Awakening』

アウェイクニング

 

Awakening

Awakening

 

  

 南佳孝『忘れられた夏』で珠玉のアレンジ&キーボードプレイを見せた佐藤博の代表作。

 冒頭の波の音からいやがおうにも高まるリゾート感覚。

 その期待にたがわぬ、クールにして豊潤な音世界を堪能させてくれる。

 ドライブミュージックというよりは、一人過ごす静かな夏の午後に酔いしれたい一枚。

アクア+2

 『AQUA』もgood。タイトルとジャケットそのままの、美しく豊かなサウンドが心の喉を潤してくれる。

 

アクア+2

アクア+2

 

 

 

 

 

 

山下達郎 『FOR YOU』

フォー・ユー 

 

FOR YOU (フォー・ユー)

FOR YOU (フォー・ユー)

 

  

 「夏だ!海だ!達郎だ!」(”タツロー”だったっけ?)とは全く思っていなかったが(『MOONGLOW』のイメージが自分には強かった)、これには脱帽してしまった。

 「SPARKLE」に始まり「MUSIC BOOK」「MORNING GLORY」「LOVELAND,ISLAND」といったきらめく夏の光のような必殺ナンバーが、これでもかと攻め寄せてくる。

 82年の当アルバムまでの達郎作品には乾いたクールネスがあってそこが好きだったのだが、83年の傑作とされる『Melodies』からは一気に湿気感が増す。それもまた良し。RIDE ON TIME (ライド・オン・タイム)

 RIDE ON TIMEも外せない。

 特に「DAYDREAM」が秀逸。

 光のシャワーが降り注ぐ。

 

RIDE ON TIME (ライド・オン・タイム)

RIDE ON TIME (ライド・オン・タイム)

 

 

 

 

 

 

大瀧詠一 『A LONG VACATION

A LONG VACATION

 

A LONG VACATION 30th Edition

A LONG VACATION 30th Edition

 
A LONG VACATION

A LONG VACATION

 

  

 まわりは田んぼばかりのイナカッペのボーズ(ワタシですね)に、「南のリゾート」という夢(笑)をはじめて鮮烈に見せつけた罪深き一枚。その被害者は当時の日本全国にいたはずだ。

 内容を聴き込めば、「リゾート」だけではないことは当たり前のようにわかるのだが、それでもそのイメージが強烈に結びついて離れないのは、このジャケットだけではなく、その完璧に完璧を重ねたサウンド・プロデュース(ウォール・オブ・サウンドという言葉はあとで知った)と、大瀧自身の情景にたゆとうようなVocal、そしてコーラス・ワークによるもの。

 一曲目の君は天然色にはじまり「Velvet Motel」「カナリア諸島にて」「雨のウェンズデイ」といったリゾート感あふれる曲は、いまもって色あせない。

 同様のリゾート・ソング群は、大瀧・佐野元春杉真理の三人によるナイアガラ・トライアングル vol.2』においてさらに発展して受け継がれている。

NIAGARA TRIANGLE Vol.2 20th Anniversary Edition

 「白い港」「オリーブの午后」「Water Color」の3曲は37年を経たいまでも出色。

 

NIAGARA TRIANGLE vol.2

NIAGARA TRIANGLE vol.2

 

 

 

 

 

 

村田和人 『ひとかけらの夏』

ひとかけらの夏

 

ひとかけらの夏

ひとかけらの夏

 
ひとかけらの夏(紙ジャケット仕様)

ひとかけらの夏(紙ジャケット仕様)

 

  

 村田和人といえばこれ!

 師匠・山下達郎プロデュースの傑作アルバム。

 なんといっても1曲目「一本の音楽」が夏のドライヴに最適、最高。

 乾いた爽快感はこの曲ならでは。

 

 

 

 

松任谷由実 『パール・ピアス』

PEARL PIERCE

 

PEARL PIERCE

PEARL PIERCE

 
PEARL PIERCE

PEARL PIERCE

 

  

 とにかく「真珠のピアス」という曲が好きで、しかも夏になると聴きたくなる。この曲に限らずアルバム自体が夏のイメージを喚起させる。

 アルバム全体に行きわたる透明感にその秘密があるのかも。

 

 

 

 

杉真理 『HAVE A HOT DAY!』

HAVE A HOT DAY!(紙ジャケット仕様)

 

HAVE A HOT DAY !

HAVE A HOT DAY !

 

  

 杉真理の作品で一番好きなアルバムは『Mistone』なのだが、夏といえばやはりこれ。夏向きに編集した企画ものだから、サマー・ソングのオンパレード。

 大人向きの音楽が聴きたいなら『魔法の領域』

魔法の領域

 人生に少し疲労感を感じている中年男性の心に寄り添いつつ、「まあ、そう気張らなくてもいいよ」とポンと肩に手を置いてくれる感じがいい。

 夏向きの曲は「君のParadice」「マイルドでいこう」「あの夏の少年」。ゆったりした時間の流れに身を委ねたくなる。

 

魔法の領域

魔法の領域

 
魔法の領域

魔法の領域

 

 

 

 

 

 

ブレッド&バター 『Pacific』

HOTEL PACIFIC

 

パシフィック

パシフィック

 

 

HOTEL PACIFIC

HOTEL PACIFIC

 

  

  湘南といえば爆走族かサザンと思っているアナタ、今すぐこれを聴いてみなさい!

 湘南といえばブレッド&バターブレッド&バターといえば『Pacific』

 当時イナカモンの高校生だった小生は、名曲しかないこのアルバムを勝手に聴いて(姉のLPでした)、サザンの唄には決して感じなかった「オシャレでクールで少し切ない大人の雰囲気を漂わせる街」湘南(イナカモンにとっては湘南=街です。波の打ち寄せる渚でさえも)に激しく憧れたものである。

 HOTEL PACIFIC」「第二土曜日」「SHONAN GIRL」「LOVE SAIL」「STAY WITH ME TONIGHT」「カタカタ想い」「お食事どこでする?」といったちょっとナイーヴな大人のラヴ・ソングには、この二人の柔らかなベルベット・ヴォイスとコーラス・ワークが良く似合う。

  湘南人(もはや日本人ではない)のライフスタイルって本当にこんな感じなんだろうか、と相も変わらず思っている未だにイナカモンのワタシである。

 

 

 

 

柳ジョージ 「星空の南十字星(サザンクロス)」

GEORGE

 

GEORGE

GEORGE

 

  

 夏の夜は満天の星空が良く似合う。

 名盤『George』収録の、その名も「星空の南十字星

 ミドルテンポのメロディも、柳ジョージの渋い歌声も、天の川が横たわる夏の夜空に程よくマッチしている。

 

 

 

 

上々颱風 「月の小舟」

上々颱風 3

 上々颱風2』収録の「愛よりも青い海」も、上々颱風3』「瞳の中の青い海」も夏向きの名曲であるが、イチオシは何といっても同じく上々颱風3』収録の「月の小舟」

 

上々颱風2

上々颱風2

 
上々颱風2

上々颱風2

 

 

上々颱風 3

上々颱風 3

 
上々颱風 3

上々颱風 3

 

  

 実は世の中で一番好きな曲がこの「月の小舟」

 世界で一番美しいメロディと、世界で一番ファンタジックな歌詞。これ以上、何が望めようか。

 ワタシも死んだら夏の夜空に魂を飛ばせ、天の川に小舟を浮かべて、ただゆらゆらと、たゆとうていたい。

 一生、愛せる曲。

 

 

 

 

Hi-Fi SET 「海を見ていた午後」「海辺の避暑地で」

 アルバムではないが、ハイセンスなコーラス・グループ、Hi-Fi SET の夏の名曲を2曲。

『卒業写真』収録の「海を見ていた午後」

The Diary』収録の「海辺の避暑地で」

 酸いも甘いも知った大人が、静かに見つめる「夏」。

 

 

 

 

 

 

 

竹内まりや 「夏の恋人」

BEGINNING

 

BEGINNING

BEGINNING

 
BEGINNING

BEGINNING

 

  これもアルバムではないがすごくいい曲なので、あえて紹介させていただく。

 真夏の恋人ふたりの情景を描いただけの曲なのだが、これがなかなか。

 静かに流れるようなメロディも、そのシンプルな歌詞も、夏の静けさを演出するサウンド・プロデュースも、そして彼女自身の、気取りも気負いもなくほどよく肩の力が抜けたVocalも、すべてが心地よい夏の微風。

 デビューアルバム『Beginning』に収録。隠れた名盤です。

 

 

 

 

杏里 『TIMELY!!』

Timely!!(紙ジャケット仕様)

 

Timely!!(紙ジャケット仕様)

Timely!!(紙ジャケット仕様)

 
Timely!!

Timely!!

 

  

 ジャケットから想像がつく通りの鮮やかなサマー・ポップ・アルバム。

 「CAT'S EYE(アルバム・ヴァージョン)」「悲しみがとまらない」といったキラー・チューンにとどまらず、これでもかと怒涛の杏里ワールドが展開される。

 ただ、個人的に一番好きなのは『モアナ・ラニ

MOANA LANI

 ハワイ語でMOANAは「海」、LANIは「天国・楽園」という意味通りの内容。

 いつものような派手さはないが、心に染みわたる美しい作品。

 きっと、宝物になる。

 失恋したばかりのヒト(特に男性)は「夕なぎ」を聴いて号泣してください。

 

MOANA LANI

MOANA LANI

 
MOANA LANI

MOANA LANI

 

 

 

 

 

 

PSY・S 『ATLAS』

ATLAS

 

ATLAS

ATLAS

 

  

 彼らの最高傑作というだけではなく、日本のPops史上においても奇跡的な一枚。

 夏の青空の彼方に”水”の理想郷がある。この作品を聴いていると、なぜかこのような想い(想像)が頭をよぎる。

 加えてこのアルバム全体を、ある種の”浮遊感”が覆っている。

 そのせいだろうか。これを聴くといつも天空の城ラピュタがイメージされてしまうのである。それは悪いことではない。

 「水のマージナル」「Stratosphere~真昼の夢の成層圏」「引力の虹」が特に素晴らしい出来。

 

Mint‐Electric

 夏向きというなら、むしろこっちかもしれない。

『Mint-Electric』

 タイトルとジャケットそのままの内容だが、9曲全てが名曲という、これも奇跡の一枚。COOLなのに元気が出る。

 

Mint-Electric(紙ジャケット仕様)

Mint-Electric(紙ジャケット仕様)

 
Mint‐Electric

Mint‐Electric

 

 

 

 

 

 

 

GONTITI 『Sunday Market』

Sunday Market

 

 

Sunday Market

Sunday Market

 

  

 もはや匠の域に達している二人のアコースティック・ギターだが、聴いているワタシ達はそんなこと気にせず、ただ二人が描く南の島に心遊ばせれば、それでいい。

 「南方郵便船」が素晴らしい。

 南太平洋のサンゴ礁の島。そのビーチにひとり佇んで海を見ていると、碧い水平線のかなたに真っ白な船の影が、ゆらゆらと揺れるようにのんびりと航行しているのが見える。

 そんな情景をギターだけで表現しきっている。

 

 

 

 

村松健 『swimmin'』

SWIMMIN’

 

SWIMMIN’

SWIMMIN’

 
SWIMMIN'

SWIMMIN'

 

  

 見よ、このジャケット。理想的である。

 ピアニスト村松健が夏の海(と水)をイメージして作り上げた快作。

 沖縄の碧い海のゆったりしたうねり、ビーチに打ち寄せる白い波、水の流れ、水滴のひとしずくまで、ありとあらゆる「夏の水」をしたたるようなメロディにしてみせている。

 それを完璧に表現する村松の、まるで水をころがすようなピアノの音の粒。

 インストゥルメンタルだが、ダマされたと思って一度聴いて欲しい。

 

 

 

 

カシオペア 『Mint Jams』

ミント・ジャムス

 

MINT JAMS

MINT JAMS

 
MINT JAMS

MINT JAMS

 

  

 フュージョンの雄、カシオペアの最高傑作。

 清々しい、爽やか、清涼感、透明感、え~っと他にもっと表現する言葉はないか?

 とにかくここに挙げた言葉をすべて網羅しているアルバムであることは間違いない。

 実際はすごく熱いプレイを展開しているのだが、それほどそれを感じさせないのは、彼ら一人一人の卓越した技術によって、一つ一つの音が粒立っているため、音像のクリア感が際立っているからだ。

 すべての曲それぞれに聴きどころがある。

 個人的に一番好きなのは「Tears of Star」

 夏の夜空に吸い込まれるよう。

 

 

 

 

ネイティヴ・サン 『シャイニング』

シャイニング

 

シャイニング

シャイニング

 

  

 もうひとつ、フュージョンの夏の名盤を。

 正統派フュージョンといった軽快なナンバーが続く中、一番の聴き所はスローテンポの美しいメロディーが印象に残る「ブルー・ラグーン」

 波の静かなラグーン(礁湖)。そこでひとり小舟を浮かべて昼寝しているような、心地よい気だるさがある。

 

 

 

 

松田聖子 『Pineapple』

Pineapple

 

Pineapple

Pineapple

 
Pineapple

Pineapple

 

  

 スミマセン、松田聖子が大好きでした。別に謝る必要はないのだが。

 ただし好きだったのは、83年まで。それまでの聖子は、自分にとっては完全にPopsの女王だった。それ以降の松田聖子は自分の求めるPopsを歌ってくれなくなった。

 これは、82年の大傑作。

 ちょっと気恥ずかしくなるような1曲目を過ぎると(これも十分いい曲なのだが)、2曲目以降はもう夏のParadice&Resort。

 彼女の天才的な歌唱表現力と、超一流の作曲家たちの優れたセンスが、「夏」のさまざまな表情を完璧に表現しきっている。

 「Pineapple Island」 「ひまわりの丘」「LOVE SONG」「渚のバルコニー」「ピンクのスクーター」 レモネードの夏 「水色の朝」と、名曲・佳曲が隙間もないほどの目白押し。で、最後にまた、気恥ずかしくなる曲で締めると(笑)。

 松田聖子の黄金時代を知らない若い人も、明菜派やキョンキョン派だったオッサンたちも、ダマされたと思って一度聴いてみてチョ。

 

 

とりあえずこんなところです。

この中のいくつかは、必ずアナタにとって一生の「夏」のお供になるはず。

では、素晴らしいバックミュージックとともに素敵な夏をお過ごしください。