Hard編といってもHard Rockじゃないよ(笑)。
浅川マキ『灯ともし頃』
秋と云えばブルース。
「ブルースの女王」といえば淡谷のり子、じゃなくて(笑)、それこそが、わが石川県が誇る浅川マキ大姉御。
意外に思われるかもしれないが、浅川マキというアーティスト(ワタシがこの言葉を使うのもあまり無いことナンだが)は「音」の質に、非常にこだわった人だった。
特に70年代のブルースアルバムのサウンドプロデュースは、ほぼジャズ並みのクォリティ。
アナタも聴けば、そのレベルの高さに驚愕すること間違いないのでありマス。
浅川マキの音楽といえば、「陰鬱」「暗い」などのイメージを持たれているようだが、それは恐らくデビューアルバム『浅川マキの世界』のイメージで語られることが多いからなのだと、ワタシはヒソカにニラんでいる。
もちろん、これはこれで彼女の代表作の一つとされるくらいにスゴイ作品なのだが。
しかしそのようなイメージも、その後放たれたブルースアルバムの数々を聴けば、たちまち吹き飛んでしまうのではないか。
彼女がもう一つこだわったのが”日本語で唄う”ということ。
つまり英米のブルースナンバーさえも、彼女独特の解釈で日本語で唄ってしまうのだ。
その独特の歌詞を”聴く”ことも「浅川マキ」の醍醐味の一つ。
まさにアーティスト(芸術家)の名に真にふさわしい浅川マキのアルバム(特に70年代)は、どれをとってもハイレベルの音楽を堪能できるが、今回はこの『灯ともし頃』を紹介することにした。
ジャケット写真でさえもアート。
若き日の坂本龍一や、80年代に世界を席巻したトランぺッター近藤等則(当時は俊則)が参加している。
他に『ブルー・スピリット・ブルース』『MAKI Ⅵ』『裏窓』などもオススメしたい。
山下久美子『BLONDE』
夜の訪れが早くなり、ハッキリと肌が冷気に包まれる頃、このアルバムを聴きたくなる。
それも出来れば湯気につつまれた自宅の風呂場で聴きたいものである。試したことは無いが(笑)。
彼女の数ある作品群のなかでも、このアルバムはとくに「心が温かくなる」気がするんだよな。
秋になるとRCを聴きたくなるのはナゼカ。
それは清志郎の声がトンデモナク哀しいからだ。
もちろんこのヒトは元気な歌も歌う。
人をコバカにした歌や攻撃する歌も歌う。
ヒジョーシキなほど純粋なラブソングも歌う。
そしてこのヒトの歌は強い。
でも、このヒトの声は哀しいノダ。
とくにこのアルバムはそう聴こえる。
こんなの秋じゃないと聴いてラレナイ。
吉田美奈子『MONOCHROME』
「ファンクの女王」吉田美奈子のアルバムの中では、本作の評価はそれほど高くないように思われるのだが、なぜだろう?
ワタシの中では、1,2を争うほどのアルバムなんだが。
というより、楽曲の良さ、そしてシンプルでありながらハイレベルかつ美しい音作りという点では断トツの仕上がりだと、個人的には思っている。
ワタシはこれを秋によく聴く。
彼女の数あるアルバムのなかでも、バツグンの透明感があるからだろうか。
遠藤賢司『満足できるかな』
これは紹介したいような、したくないような(笑)。
「カレーライス」なんか大好きで、聴くたびに涙してしまいそうになるのだが。
アルバム通して聴いてると、なんだか気持ちがどんどん沈んでく方向に行っちまいそうで。
本作が”暗い”ということではなく、何か”出口の見えない人生の哀しさ”みたいなモノが、このアルバム全体の背後に潜んでいるような…。
でもとてもいいアルバム、だと思うよ。
はちみつぱい『センチメンタル通り』
じつは浅川マキと並んで今回のイチオシ。
これ一枚を残して解散してしまったはちみつぱいだが、これが世紀の大傑作。
今回はひとりシンミリ聴く作品(笑)が多くなってしまったが、これなど究極のシンミリ。秋ですなぁ(笑)。
先ほど清志郎の声が哀しいと書いたが、鈴木慶一の声も時々イタイタしいほど哀しく聴こえるときがある。
ともかく、ダマサレタと思って一度聴いてみてほしい。
忘れるトコロだった。
はちみつぱいで”イチオシ”だの”世紀の大傑作”だの”ひとりシンミリ”だのと書いてたら、これを思い出した(笑)。
そうナンデス。
これもイチオシの「世紀の大傑作」で、ひとりシンミリ聴くアルバム(笑)。
これでイチオシが三枚(笑)。
ただこのヒトの場合、客観的にモノゴトを見ててそれがある種の”滑稽さ”を(ワザと)醸し出してるようなところがあって、一筋縄で行かなさそうなトコロが面白かったりするわけデスナ。
80年代に入ってからの大瀧ミュージックもリゾート感だけではない奥深さを持ってたけど、72年発表のこのソロデビューアルバム(と75年の『ナイアガラ・ムーン』も)を聴けば、さらに大瀧ミュージックの奥深さが実感できるはず。
次回は「秋のオススメGood Old Music 洋楽編」。