夜になると秋の虫が鳴き始めて、もう何日たつでしょうか。
そろそろ秋の音楽が聴きたくなってきますな。
ちゅうわけで(笑)、今回は「秋のオススメGood Old Music」邦楽版を紹介イタシヤス。
ムーンライダーズ『青空百景』
まさに秋晴れの青空の如く、スコーンと突き抜けた”カラッポさ”が魅力の快作。
アキアカネが舞う爽やかな青空の下、稲わらを燃した香ばしい匂いを嗅ぎつつ、「トンピクレンッ子」を口ずさみながら田んぼ脇の道を自転車で走るのはサイコーでした。
高校二年の通学の想ひ出。
何も考えず口ずさめる曲満載ですわ。
松任谷由実『昨晩お会いしましょう』
先日紹介した『時のないホテル』がワタシのなかではイチバンなんだが、それでは少々重すぎる(笑)という方にはコチラ。
空気が少しヒンヤリしてくる頃合いに、シックな街並みの中を浮遊するかのように漂う主人公たち。
特に前半5曲(昔のA面ですな)の完成度・クォリティの高さは素晴らしく、ハイセンスなオシャレ感(他にもっといい言葉なかったか?笑)は今聴いても全く色褪せていない、と思う。
シングル曲にもなった「守ってあげたい」「夕闇をひとり」は永遠の名曲。
大貫妙子「ヨーロッパ三部作」の一枚目。
日本のPops史上に残る大傑作。
次作の『アヴァンチュール』が明るく乾燥したヨーロッパなら、本作は晩秋の夕暮れ時のヨーロッパ。
”街灯がポツポツと灯り枯葉が舞う石畳の小径”が目に浮かびますな。
ハイクォリティの名曲がズラリと並ぶが、それを引き立たせる坂本龍一教授の凄まじいアレンジにも注目いただきたい。
南佳孝『Seventh Avenue South』
もう何度も紹介しているこのアルバム。だって名作なんだモン(笑)。
秋の夜長にはこの『Seventh Avenue South』とウィリー・ネルソンとドナルド・フェイゲン、そして一杯のスコッチ(もちろんダブルで)があれば、それでいい。
ムーンライダーズのBass鈴木博文(リーダー鈴木慶一の実弟)が美尾洋乃(みおひろの)と組んだユニットMio Fouのファーストアルバム。
このジャケット写真が、その内容をすべて物語っている。
秋の黄昏時にふと見上げた空の「無限の空虚さ」といったらない。
”虚空”とはよく言ったものだ。
「孤独感」溢れる音楽(笑)。
鈴木さえ子『スタジオ・ロマンティスト』
唯一無二と言っていい彼女のファンタジックなPopセンスが最大限に引き出されている。
幻想的な曲あり、はじけるようなPopsあり。
まさに”スタジオ・ロマンティスト”。
別に秋向けのアルバムというわけでもないのだが、秋に聴きたくなるのも事実。
彼女独特の「子供のような透明感」がそうさせるのか。
加藤和彦『マルタの鷹』
JAZZを全面に押し出した、加藤和彦のなかでも”異色”と言えるかもしれない一枚。
全編に漂う、陰影に満ちた雰囲気が醸し出す「古き良き時代」に誘われ、酔わされる。
竹内まりや『Quiet Life』
「告白」や「シングル・アゲイン」といった、一歩間違えれば不倫にまで発展しそうな”過去の愛”を前にしてもグッと踏みとどまり、やはりこの人の”歌”のキホンは「マイ・スイート・ホーム」 を大事にする「Quiet Life」なんだろうな。
温かいスイート・ホームが恋しくなる秋。
今も活動するソロ・シンセサイザー・ユニット「姫神」は、当初は4人でのバンド形式で「姫神せんせいしょん」と名乗っていた。
これはその姫神せんせいしょんによる三作目でタイトルが『姫神』というややこしさ(笑)。
しかし内容は素晴らしいの一言。
まずこの世のものとは思えない美しさの一曲目「舞鳥」に息を呑み、涙を流す。そのあとも「古き良き東北」を思わせる佳曲名曲が続く。
のちの姫神となってから、”縄文”をテーマにした名曲を数多く世に出したが、実はこのアルバムほど”縄文”を感じさせる作品は他にはない。
東北が今も深いところで”縄文”とつながっていることを感じさせてくれる作品である。
矢野顕子『WELCOME BACK』
やたらハイスピードの一曲目(これはこれで驚愕の名曲名演なのだが)を除けば、あとはのんびりまったりのアッコちゃんワールド。
実りの秋、不安な秋(夏が過ぎ去ったあとの秋って我に返るせいか、色々と不安のタネが顕在化してくるモノです)、癒されたい秋。
どれもりっぱな日本の秋デス。
スミマセン。
またしても松田聖子をぶっ込ませていただきヤス。
しかも2枚(笑)。
夏の聖子もいいが、初期の松田聖子は”秋”の表現がバツグンにうまかったと思う。
やっぱり日本の歌手は「季節感」をいかに表現できるかだと、ワタシは思うわけなのデス。
ワクワクする秋。
温かい(気持ちになる)秋。
透明な秋。
寂しい秋。
恋の秋。
街の秋。
リゾートの秋。
松田聖子の表現力はとどまるトコロを知らないのでアリマス。
次回は「秋のオススメGood Old Music」続編、『Hard編』(笑)をお送りいたしマス。