80年代、PopなRock'n'Rollで「女王」の名を欲しいままにした山下久美子。
現在に至るまで活動を続けている彼女だが、クォリティの高い”傑作”アルバムはやはり80年代に集中して生まれている。
その中でもワタシが特に好きな、というかオススメしたいアルバムをここで紹介しましょう。
『Sophia』 (’83)
山下久美子の最高傑作は何かと問われれば、人によって答えは分かれるだろうが、ワタシはこれを推す。
最高の楽曲を携えてアメリカはニューヨークで録音された本作。
一流のスタジオで、一流のプロデューサー、一流のミュージシャンと共に作り上げられたこのアルバム。
当時、音楽のことなど分かったようで分かってなかった田舎の高校生だったワタシ(その点いまでも大して変わらんのだが…)にも、そのサウンドのレベルが、今まで聴いてきた日本のものとは比べようがないほど高い、ということはハッキリわかった。
音の厚みが違う。
にもかかわらず一つ一つの音(楽器)がしっかり主張している。
なにより、当時からビート大好き、ベースの音大好き(?)人間だったワタシにとってウレシかったのは、ドラム・ベースがビシバシ効いていたこと。
普段は決して強いとは言えない山下のVocalも、この迫力あるサウンドに負けることなく、うまく乗っかっている。MIXの技術も高いのだろう。
そして今聴いても全く色褪せていない、素晴らしい楽曲の数々。
アップテンポのRock'n'Roll(「ちょいまちbabyなごりのキスが」「こっちをお向きよソフィア」)も、ミドルテンポのラヴ・ソングもバラードも、日本のRock・Pops史に残る名曲をズラリと揃えている。
前年に「赤道小町」の大ヒットがあったとはいえ、一体どんだけカネかけたんだ?というくらいの贅沢過ぎる作品。
何十年にもわたって愛聴できる作品など、そうあるもんではない。
- アーティスト: 山下久美子
- 出版社/メーカー: Columbia Music Entertainment, Inc.
- 発売日: 2015/09/23
- メディア: MP3 ダウンロード
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『Sophia』ほどの作品はもう望めまい。
そう思っていたら、その2年後にとんでもないヤツを味方につけてしまった山下久美子。
当時飛ぶ鳥をも落とす勢いだったBOOWYの心臓、布袋寅泰と結婚。当然、布袋とその一味(笑)*1と数年間、共にレコーディングを行うことに。
ただ布袋との出会い、結婚、音楽における共同作業等の前後関係については、ワタシはよく知らないし、特に興味も無い。
それはともかく、布袋との共作のなかでも特に最初の4作品は、日本のRock・Pops史のなかでも燦然と輝く傑作となっている。
特筆すべきはその然るべきサウンド・プロデュースと、布袋の手による言わずと知れたセンス溢れる楽曲群。PopなRock'n'Rollという山下久美子の特質を高いレベルで実現している。
この4作を『Sophia』に次ぐ傑作群としてここに紹介しておこう。ちなみにわたしの一番のお気に入りは『BLONDE』。
『BLONDE』 (’85)
『1986』 (’86)
『POP』 (’87)
『Baby alone』 (’88)
*1:『BLONDE』ではのちにCOMPLEXを結成する吉川晃司をバックコーラスに迎えている