表面化し沸騰する「自由」の国アメリカの黒人差別問題。
中国のウイグル族、チベット族など少数民族への力による支配、虐待。
言いたいことは山ほどある。
ドイツをはじめとするヨーロッパ諸国にも、少し腹が立っている。
怒りにまかせて、特にアメリカと中国に対する攻撃的記事を書こうと思ってもいたが………
正直、ガラではない。
そのような記事はワタシのものではない。
ワタシにはワタシのやり方があるのだ。
いま世界でアメリカの黒人差別に抗議する運動が広がっている。
女性軽視の風潮も根強いものがあるようだ。
その両方に関わるのがトランプ。
しかし、トランプを攻撃する記事にするつもりはない。
民主党バイデンは黒人の女性を副大統領候補に指名したが、どうなんだろう?
ここでは差別反対、トランプ反対の記事ではなく、黒人と女性をたたえるものにしたい。
しかし悲しいかな、ワタシは称えるための言葉というものをあまり持っていない(笑)ので、例によって紹介する音楽でそれを表現したいと思う。
ただ黒人と女性、別々に分けてしまうと、紹介する音楽の量もハンパないものになるので、今回は「黒人女性」ということに絞らせてもらった。
黒人女性アーティストの音楽、である。
黒人の愛とパワー、女性の愛とパワーを感じて頂ければ。
黒人女性のパワー。
まずは黒人音楽の粋を集めたようなこの曲を聴いていただきたい。
黒人の力強さ、逞しさをワタシはいつもこの曲に感じてしまうのである。
「スピリット・イン・ザ・ダーク」
この歌の内容は「暗闇の中で聖霊に出会った」ことの衝撃を歌ったものだが、今のこの時に照らし合わせれば、
「暗闇が覆っているようなこの時代に保つべき精神」
という解釈もできるのではないか。
今回は黒人女性をたたえるものに、と言ったが、やはりこの曲を避けて通るわけにはいかない。
当時はまだ黒人に対するあからさまな差別が激しかった時代だが、彼女たち黒人ジャズ・シンガーたちは、白人の客相手に歌い、稼ぐしかなかった。
それでもビリー・ホリデイは白人に媚びることなく凛とした態度を崩さず、黒人女性としての誇り高い姿勢を保ち続けた。
逆にことあるごとに白人の客にこびへつらう後輩のサラ・ヴォーンをたしなめていたという。
ビリー・ホリデイ 「奇妙な果実」
アメリカ南部では白人による黒人のリンチが日常的に行われていた。
奇妙な果実。
それは、木にぶら下げられた黒人の死体のことである。
もちろん過去の話しではあるが、同じことが現在も形を変えて行われていることは、世界中が目の当たりにしている。
ちょっと息が詰まりそうになってませんか?
ここでちょっとブレイク(笑)
みなさん、アーティストで「猛女」(笑)といえば誰を連想するだろうか?
イヤ、これは決して女性を軽視・蔑視するコトバではなく、ワタシの中ではホメ言葉(笑)のつもり(冷や汗)。
猛女。
ワタシなどは、まずジョニ・ミッチェル(笑)が思い浮かぶが、皆さんはやはりティナ・ターナー(笑)でしょうか?
金のために踊る、プライヴェート・ダンサー。
ティナ・ターナーの歌が胸に迫る。
悲しい歌なのだが、渋谷陽一は「ティナ・ターナーが歌うとリアリティがあり過ぎる」などとホザキおった(笑)
黒人女性の愛の深さ。
黒人女性にとっての愛の大切さ。
ワタシはこの曲を聴くと、そのことに思いを馳せるのである。
シャーデー 「キス・オブ・ライフ」
最後にはマリーナ・ショウのニ曲を聴いて終わりにしたい。
いずれも同じアルバムから。
黒人女性とは、かくも凛として気高き人たちなのである。
愛を語らせたら、黒人女性の右に出るものはない、とさえ思える。
マリーナ・ショウ 「ユー・トート・ミー・ハウ・トゥ・スピーク・イン・ラヴ」
マリーナ・ショウ 「ユー」
今年の全米オープン。
大会前から開催中にかけてずっと、人種差別への抗議を続けていた大坂なおみ選手が、アメリカを舞台にしたグランドスラムで優勝したことは、歴史の上でもなにか意味のあることに違いない。