つい先日、フランス在住の方のブログに出会ってしまい(笑)、フランス、いいナァと遠くを見つめる(笑)今日コノゴロ。
フランス、一回行ってみたい(笑)。
パリもいいけど、片田舎の小さな街の石畳の路とか。
緩やかな丘陵に延々と広がる美しい農場とか。
そうだ、ゴッホの愛したアルルも行かねば。
しかし……
オマエにそんなカネねえだろ、とまず自分に1ツッコミ。(言葉が少々荒れておりますがお許しください。)
いやいや、それ以前にオマエ飛行機ニガテだろ、と2ツッコミ。
イヤイヤ、それ以前に世界のこの状況で行けるワケないだろ、と3……。
そう言や、わが石川県のアノ知事も「県境またいで移動するな」と、手のひら返し(笑)で言ってたからなぁ。
ましてや国境を越えるなどということは、善良なる石川県民(笑)には出来ませぬ。
まあ、これはもう全国的、全世界的動きなんだということで。
みんな、しばらくガマンの時期だ、一日も早くフランス旅行に(笑)行けるように。
(どっちにしろ、ワタシは前掲のリユウにより行けないのだが.笑)
まあそのような経緯(笑)でフランス旅行を断念せざるを得なかったわけだが、そんなワタシにとってフランス気分を味わうには、かのブログに立ち寄らせていただくか、さもなくば大貫妙子の「ヨーロッパ三部作」を聴くしかないではないかっ!
はい、 というわけで、今回は大貫妙子ヨーロッパ三部作。
1980年から”奇跡の”82年にかけての3年間にわたって発表された
『ロマンティーク(ROMANTIQUE)』 (’80)
『アヴァンチュール(AVENTURE)』 (’81)
『クリシェ(Cliche)』 (’82)
の三作を指して「ヨーロッパ三部作」と呼ぶ。
言うまでも無く、ヨーロッパ的な情景や雰囲気が横溢しているため、そう呼ばれているのだが、歌われている舞台や世界観は明らかにフランス寄りとなっている。
それもかなりディープな世界が歌われている。 芸術的なまでに。
この三部作は、同じヨーロッパ(主にフランス)を主題としているとは言え、それぞれに際立った個性を放っている。
そしてそれぞれに、 ”超” の付く名曲がずらりと揃っている。
では聴いてみよう。
『ロマンティーク(ROMANTIQUE)』
三枚のなかで、最も”ヨーロッパ的陰影” に富んでいる。
その分、どっぷりとその世界に浸ることが出来るのがこのアルバムである。
それはもう旅行者気分などではない。
フランス生活の酸いも甘いも、パリの光も影も、すべて知り尽くした、そこに住まう者の感覚。
いや、それ以上か。
とにかくディープなフランス、ディープなパリである。
一曲目「CARNAVAL」でいきなり”教授”(坂本龍一)の超絶アレンジに見舞われるが、それ以降は大貫妙子の”ディープ”な歌世界をさらに深化させるような、美しくも”ホリの深い”影を感じさせるアレンジで、その「芸術性」に寄与している。
「雨の夜明け」
「若き日の望楼」
「BOHEMIAN」
「果てなき旅情」
「新しいシャツ」
「蜃気楼の街」
など、歴史的名曲が並ぶ。
『アヴァンチュール(AVENTURE)』
前作よりは幾分明るめになっており、 ”フランス旅行”を満喫できる。
全体的にキラキラした透明感のあるアレンジが印象的である。
しかし”陰影”はしっかり残っており、そのバランス感覚が素晴らしい。
POPS然とした、
「恋人達の明日」
「チャンス」
では、東京の街角を舞台(多分.笑)に恋愛気分を高め、
「Samba de mar」
「アヴァンチュリエール」
「テルミネ」
「グランプリ」
「La mer,le ciel」
でフランス各地の旅行を堪能。
そして陰影のある、
「愛のゆくえ」
「ブリーカー・ストリートの青春」
「最後の日付」
で生活に根差した男女の愛の深さとはかなさを知る。
とくに「最後の日付」は「黒のクレール」に匹敵する名曲である。
『クリシェ(Cliche)』
日本のPops史上TOP5には必ず入るであろう超絶名曲「黒のクレール」で幕を開ける。
ここでも”教授”のアレンジは深みを増すばかりである。
「色彩都市」
「光のカーニバル」
といった色彩感あふれる明るい曲に目を奪われるが、全体的には、それまでの”具体的なヨーロッパ”ではなく、抽象的な印象が強まっている。
後半のアレンジはフランス人の手によっているが、そのせいかもしれない。
芸術性に富んだアレンジではあるが、個人的には全曲、”教授”(坂本龍一)のアレンジで聴いてみたかった気もする。
しかし素晴らしい作品であることは間違いない。
ジャケットが象徴する通り、フランス各地の美術館を渡り歩いて、いくつもの絵画を鑑賞しているかのような作品。
いまのワタシたち日本人(主にマスメディアだが)は、音楽にたずさわる人たちに向けて、ジツに気軽に「アーティスト」という呼称を使っているが、その中で「アーティスト」と呼ばれるにふさわしいヒトは一体何パーセントほどいるのか。
大貫妙子は数少ない真の「アーティスト」の一人である。
その彼女の作品群のなかでも、このヨーロッパ三部作はまさに「芸術」と呼ぶにふさわしいものである。
世界のこの状況の中でフランス旅行の計画をキャンセルせざるを得なかったアナタも、
ワタシのように諸々の事情でおそらく一生フランスには行かない(笑)であろうアナタも、
このヨーロッパ三部作を聴いて、どっぷりとヨーロッパ、フランス気分に浸ってみてはいかがだろうか。
そこはもうユトリロや佐伯祐三、ルノワールやゴッホが描いた世界。
パリのアパルトマンに暮らし、水銀灯に照らされた枯葉舞う裏通りを散策し、気が向けば芸術家仲間たちとモンマルトルの丘に遊び、コートダジュールの陽光をいっぱいに浴びることができるのである。
あくまでヴァーチャルだが(笑)。