雨の日、雨の夜にはなぜかジャズを聴きたくなります。今回はその中でも選りすぐりの名曲・名盤を紹介しましょう。
「ラウンド・ミッドナイト」
「マイルスのトランペットは泣いている」と言ったのは誰だったか。
Miles Davisの「泣き」のトランペットを聴きたいのなら、いの一番に挙げたいのは超名盤『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』の冒頭を飾る、この「ラウンド・ミッドナイト」 。
泣きのトランペット、泣きのアルト(サックス)、いろいろあるが、「泣き」は「雨」とよく似合う。
- アーティスト: マイルス・デイヴィス,ジョン・コルトレーン,レッド・ガーランド,ポール・チェンバース,フィリー・ジョー・ジョーンズ
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックレコーズ
- 発売日: 2001/02/21
- メディア: CD
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『セロニアス・ヒムセルフ』
- アーティスト: セロニアス・モンク,クーティ・ウィリアムス,バーニー・ハニゲン
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
- 発売日: 2016/09/28
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- アーティスト: セロニアス・モンク,ジョン・コルトレーン,ウイルバー・ウエア
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2003/03/05
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ジャズ・ピアノの音色も雨とよく合うのは言うまでもない。
それがソロ・ピアノとなると、なおさらである。音の一粒一粒は雨粒のごとく。
モンクの訥々(とつとつ)とした語り口のピアノは、降る雨音というよりは、さながらポタリポタリと落ちてくる雨だれのようだ。
雨の夜、この『セロニアス・ヒムセルフ』を聴きながら、ウィスキーをストレートでちびりちびりと飲りたいものである。
『アンダーカレント』
- アーティスト: ビル・エヴァンス,ジム・ホール,エディ・デ・ランゲ,ジミー・ヴァン・ヒューゼン,ディック・ガスパール
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
- 発売日: 2016/10/26
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ビル・エヴァンスの物静かだが粒の揃ったピアノの音色は、そぼ降る梅雨の霧雨。
その雨に寄り添う人の心情を紡ぐのはジム・ホールの、やはり静かだが粒の揃ったギターの音色。
その逆もまた真なり。
ビル・エヴァンスのソロ・ピアノで有名なのは『アローン』。一曲目に雨の曲「ヒアズ・ザット・レイニー・デイ」もありオススメではあるのだが、ワタシがより力を込めて推薦したいのが、その続編ともいえるこの『アローン・アゲイン』なのである。
一般に比較的評価が高いのは『アローン』の方なのだが、演奏が硬質ガラスのようで(だから素晴らしいと言えるのだが)、あまりシットリした気分にはさせてくれない。
『アローン・アゲイン』は晩年の作品で、往年の切れ味の鋭さよりも、より円熟味を増した艶やかさに溢れている。もちろんテクニックは衰えておらず、その演奏はエロティックでさえある。抒情的とはこの作品のためにある言葉(CDの帯には”内省的”と書かれていたが)。
漆黒の雨の夜、大人の男女が二人きりで聴くにはいいアルバム、かもね。
「マイ・フーリッシュ・ハート」
- アーティスト: ビル・エヴァンス,ビル・エヴァンス・トリオ,スコット・ラファロ,ポール・モチアン,アイラ・ガーシュウィン,Dubose Heyward,ジョージ・ガーシュウィン
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
- 発売日: 2016/09/28
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- アーティスト: ビル・エヴァンス・トリオ,ビル・エヴァンス,スコット・ラファロ,ポール・モチアン
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
- 発売日: 2018/12/12
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あまりにも有名なアルバム『ワルツ・フォー・デビイ』に収録の、あまりにも有名なこの曲、この名演。
失恋したアナタは、窓の外の雨を眺めながらこの曲を聴いて下さいな。ビルのピアノ、スコット・ラファロのベース、そしてロマンティックなメロディが、優しく貴方を包んでくれることでしょう。
『ヴァーチュオーゾ』
「雨の日のジャズ」のイチオシは実はこの作品。
独り過ごす雨の日。そぼ降る雨の中に沈み込んでしまいそうな心を、ジョー・パスのギターがそっと慰めてくれる。
『バラードとブルースの夜』
顔と名前に似合わず(笑)、ここで流麗なピアノを奏でるマッコイ。表現力も一流であることを改めてこのアルバムで示した。
これを聴きながら、たまには雨の夜を愛でるのもいい。
この人の演奏を最初に聴いたとき、これがアルト・サックスの音色だとは到底信じられなかった。それほどポール・デスモンドのアルトは、優しく、温かく、胸にそっと染み込んでくる。
このアルバムは超のつく名作といっていい。
ここでもギターのジム・ホールがいい仕事をしている。久しぶりに会った親友がしみじみと語らい合うかのような味わいが、二人の演奏にはある。
加えて、アルバム全体を覆う絶妙な音のくすみ具合が、霧雨にむせぶ情景のようないい味を出している。
ワインでもウィスキーでもいい。酒を片手にじっくりと聴き込みたい一枚。
Midnight Blue (The Rudy Van Gelder Edition)
- アーティスト: ケニー・バレル
- 出版社/メーカー: Blue Note Records
- 発売日: 1999/02/25
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- アーティスト: ケニー・バレル,スタンリー・タレンタイン,メジャー・ホリーJr.,ビル・イングリッシュ,レイ・バレット
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2004/06/09
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打って変わってこれはなかなかにハードボイルド。
BLUEだが粋なケニー・バレルのギターに絡むヘヴィーなベース、気だるそうなスタンリー・タレンタインのテナー・サックス。
コートを着た男が、傘も持たずに都会の路地裏を一人濡れながら歩いていく、といった映画の一コマを彷彿とさせるブルースな作品。
『ジョン・コルトレーン&ジョニー・ハートマン』
John Coltrane & Johnny Hartman (Classics)
- アーティスト: ジョン・コルトレーン& ジョニー・ハートマン
- 出版社/メーカー: Universal Music LLC
- 発売日: 2005/09/19
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- アーティスト: ジョン・コルトレーン,ジョニー・ハートマン,サミー・ギャロップ
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
- 発売日: 2018/06/20
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ジョニー・ハートマンの甘い歌声に、コルトレーンのメランコリックなテナー・サックス。これ以上、何が望めようか。
夜の雨音をバックに、酔いしれたい。
南佳孝 「COOL」
南佳孝はジャズじゃねえじゃねえか、と言われそうだが、彼の超名盤『Seventh Avenue South』はNYジャズの凄腕たちの名演をバックに、佳孝が都会の夜を歌い上げるという贅沢な作品。
なかでも一曲目「COOL」の冒頭、いきなりデイヴィッド・サンボーンの「泣きのアルト」のソロで始まるという信じがたい豪華さ。
これだけでも聴く価値はある。心の中はすでに「雨」。