前回まで洋楽アルバムBest20を発表してまいりました。
今回はその流れに乗って洋楽ナンバーBest20をやっちまいます。
要するに私が選ぶ「いいと思う曲」ランキングです(笑)。
見ておいて損は絶対にさせません。珠玉のナンバーがこれでもかと出てきます。
ではまいります。
1位:
バーブラ・ストライサンド 「追憶」
名曲中の名曲。
しかしこの曲を唯一無二たらしめているのは、この人のバケモノ的歌唱力あってこそなのである。
TVの音楽番組などでよくみかけるのだが、「声量がある」「音域の幅が広い」イコール「歌唱力がある」と、はなはだしく勘違いしている輩が実に多い。
しかしいくら声が出ていても音程がズレてたら、ただ聞き苦しいだけ。音痴のそしりは免れ得ないでしょう。ましてや高音域でそれをやられたら、公共の電波を使った騒音テロにしか聴こえない。
本当の歌唱力とは何かを知りたければ、バーブラ・ストライサントの唄を聴けばいい。
「声量がある」「音域の幅が広い」という条件だけでも、他の一流どころをはるかに凌駕しているが、彼女の本当の凄みはその「表現力」にこそある。それも傑出した技術あってこそであろう。
彼女の唄は、どんなに難易度の高い曲であっても、どれだけ感情を込めて歌っても、「がんばってる」感がまったくない。だから私たちリスナーは、その歌世界にどっぷりとひたり、感動することができるのだ。
彼女の歌う「追憶」、さらに「愛のラストシーン」「ニューヨークの想い」といった曲を聴けば、心酔すること間違いなしである。
『メモリーズ』というアルバムはこの三曲のほか、「メモリー」などの名曲が多数つまっっている。
2位:
ザ・ローリング・ストーンズ 「モンキー・マン」
アルバム・ランキングのところでも書いたけど、やっぱり『レット・イット・ブリード』収録のこの曲は外せない。
不安を掻き立てるためとしか思えないイントロが流れてくるだけで、どこか異世界(それも良くない方の)へ引っ張り込まれそうになる。
この頃のストーンズのすべてが詰まった曲なんじゃないだろうか。
一方、『アンダーカヴァー』収録の「シー・ワズ・ホット」は、打って変わって痛快なロックンロール。
3位:
ルー・リード 「パーフェクト・デイ」
この人の曲はなんでこんなに悲しいのだろう。(まあ、答えはほぼ分かっているのだけれど)
名盤『トランスフォーマー』収録のこの曲を聴くたびに、胸が張り裂けそうな気分になる。
これと同様かそれ以上の気分を他でも味わいたい方は、これも名盤『ベルリン』のタイトル曲をどうぞ。
4位:
ダリル・ホールのVocalがいいのはもちろんだが、私はジョン・オーツのVocalが好きでして。
ダリルほどカッコ良く歌えるわけではないが、温かく素朴な人間性(に見えますよね)がにじみ出る、それはそれでソウルフルな歌声。
楽曲自体もそんな彼の特性にピッタリの、ソウルフルで味わい深い出来映え。
やけに前衛的に攻めたアルバム『Big Bam Boom』の最後に、ほっとしながらも聴き入ってしまうナンバー。
真逆のカッコよさを求めるなら、候補はいくらでもあるが個人的にオススメは、これも名盤『H₂O』のラストを飾る「ゴー・ソロ」。
妙に乾いた演奏と、ダリルの歯切れ良いVocalが病みつきになる。
5位:
アレサ・フランクリン 「スピリット・イン・ザ・ダーク」
アレサの最高傑作『スピリット・イン・ザ・ダーク』のタイトル曲。
黒人音楽の粋を極めたようなアルバムの中でも、特筆すべき出来映えとなっている。
黒人特有の泥臭さとグルーヴに酔いながら聴いていると、さらにその終盤、突如として始まるカタルシス。もうたまらん。
黒人音楽の鑑である。
6位:
ウィリー・ネルソン 「スターダスト」
スタンダード曲を集めた『スターダスト』の冒頭を飾るタイトル曲。
一流のアーティストたちもひそかに愛聴するという本作のほかの曲同様、この曲もJazzでよく採り上げられるスタンダードだが、このウィリー・ネルソンが歌う「スターダスト」が一番いいように思う。
少し冷え始めた秋の夜空に星を見つけながら聴きたいものである。
7位:
アート・ガーファンクル 「シザーズ・カット」
『シザーズ・カット~北風のラストレター』というアルバムが好きで、毎年晩秋のころになると聴き始める。
小品的なアルバムだが全編をある種の透明感が包んでいるように感じるのは、ひとえにアートの歌声のたまものであろう。
男女間のどうすることもできない切ない関係を歌い上げたこの曲で、透明な哀しみにも似た美しさは、いっそうきわだっている。
8位:
ポール・マッカートニー 「ノー・モア・ロンリー・ナイツ」
いじわるな見方をするわけではないのだが、ジョンの死後、ポールは急に素晴らしい作品を連発しだす。やはり何か思うところ、感じるところがあったに違いない。
その素晴らしい作品群の中でも、特に後世にまで伝えられるべき美しすぎるバラードがこれである。
白い息を吐きつつ、とつとつと歌いながらロンドンの夜景を見つめるポールの脳裏には何が浮かんでいたのであろうか。
映画のサントラ盤でもあった『ヤァ!ブロード・ストリート』収録。
Give My Regards To Broad Street
- アーティスト: ポール・マッカートニー
- 出版社/メーカー: Universal Music LLC
- 発売日: 2010/11/26
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9位:
パティ・スミス・グループ 「ベイブローグ~ロックンロール・ニガー」
問題作である。
何が問題かって、今の時代じゃマズいでしょ?このタイトル(笑)
しかしそんなことはどうでもよくなるくらい、カッコイイのである、この曲は。
「ベイブローグ」で熱狂のなか始まる詩の朗読。
ぐんぐんピッチを上げていく観衆の手拍子。高まる高揚感。徐々にテンポが速くなる。
いつの間にかバックのリズムがこれに加わり、音量が上がってパティの朗読も激しさと攻撃性を増しつつ、ついには興奮のるつぼのさなか、怒涛のように「ロックンロール・ニガー」へとなだれ込んでゆく。
この展開こそがすべて。脳天突き抜けのカッコよさなのである。
『イースター』に収録。
10位:
ホール 「セレブリティ・スキン」
ニルヴァーナのカート・コバーンの奥さんでもあったコートニー・ラヴをリーダーとするバンド。この曲はホールの、同名の3rdアルバムからのシングル。ただの、しかし最高にしびれるロックンロールである。
コートニーの「ふてぶてしい不良ネーチャン」味がよく出ている。
11位:
トム・ペティ 「ランニン・ダウン・ア・ドリーム」
普段はトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズとして活動していたトムだが、これはソロアルバム『フル・ムーン・フィーヴァー』収録の痛快なロックンロール。
先だってのアルバムランキングでこのアルバムを8位に挙げたのも、この曲の存在あってこそ。
12位:
ザ・プリテンダーズ 「チェイン・ギャング」
アルバムランキングのところでも書いたけど、若い頃はこの曲を抱きしめるように聴いていた。
でもどこがいいのか説明しろと言われても、なかなか難しい。
いま改めて聴いてみても、部分部分を指して「‥‥の~がいい」などと言語化することはまったくできない。まあ、技術的なことに精通している人なら説明できるんだろうけど。
でも一度、とは言わず何度でも聴いてみて欲しい。必ずこのミドルテンポの曲の良さが、体に染み込むように理解できるはずだから。
『ラーニング・トゥ・クロール』収録のシングル。
13位:
プリンス 「アルファベット・ストリート」
プリンスは超のつく名曲も多くてかなり悩んだが、個人的な好みでこれにした。
何がいいって、小気味よく刻まれるファンクのリズムを、ここまで気持ち良く聴かせてくれる曲は他にないからだ。それがすべて。
『LOVESEXY』収録のシングルだが、この曲だけをまずは聴きたいというのなら、このアルバムはおすすめできない。
もちろんこれはプリンスの最高傑作であり、私も『1999』と並んで一番好きなアルバムなのだが、なぜオススメできないかというと、このアルバム内の曲はすべて、切れ目のない一曲として収録されているからだ。なんつーか、さすがプリンス‥‥。
したがってこのアルバムでは、一曲だけ抽出して聴くのは非常に困難である。
ベスト盤的なアルバムを探していただいた方が良いように思う。
例えばこの『アルティメイト・ベスト』のような。
14位:
エルヴィス・コステロ 「ノー・アクション」
エッジの効いた切れ味鋭いロックンロールである。
収録されている2nd『ディス・イヤーズ・モデル』は他にもこのような佳曲・名曲がずらりと並んで完成度も高く、エルヴィスの最高傑作だと私は信じている。
その一曲目で早くもガツンと後頭部を殴られるような衝撃を与えてくれるのがこの曲である。
This Year's Model (Deluxe Edition)
- アーティスト: エルヴィス・コステロ
- 出版社/メーカー: UMe/Elvis Costello
- 発売日: 2014/10/31
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15位:
ザ・スタイル・カウンシル 「マイ・エヴァ・チェンジング・ムーズ」
「センスのいいオシャレなロック」(笑)を聴きたいならこれに尽きる。80年代の名盤『カフェ・ブリュ』収録のシングルだが、可能なら
ベスト盤などで5分40秒越えのロングバージョン(12inchバージョン)を探して聴いてほしい。
普通ならこのようなロングバージョンは冗長に過ぎて、つまらないものになりがちだが、この曲に限ってはそんなことは全く無く、むしろ曲としての完成度は高くなっている。まあ、ロングといっても5分だからね。
The Complete Adventures Of The Style Council
- アーティスト: ザ・スタイル・カウンシル
- 出版社/メーカー: Universal Music LLC
- 発売日: 2005/06/15
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16位:
マシュー・スウィート 「ルッキング・アット・ザ・サン」
熟れ過ぎた果実のような曲満載の『ガールフレンド』に収録。
甘酸っぱいような、いまはもう失ってしまった「何か」が、胸に残る。
オルタナ系のようでもあるが、サウンドプロデュースは完璧である。
17位:
ジョン・クーガー 「ウィーケスト・モーメンツ」
『スケアクロウ』収録の「スモール・タウン」と迷ったが、
結局『アメリカン・フール』のラストを飾るこの曲にした。
生活や愛に疲れながらも弱さを見せない男が、一人になったときにふと出すため息のような(笑)曲。
沈みゆく夕日を見つめながらこの曲を聴いて泣いていたい(笑)
18位:
ニール・ヤング 「ワン・オブ・ディーズ・デイズ」
続いてもまた泣きたい曲(笑)
長かった今までの人生を振り返って、いまはもう会えないであろう過去の親しい友人たちに向けて手紙を書こうと(しかし恐らくそうはしないであろうことも自分にはわかっている)歌う、Mr.「孤独が似合う男」。
深まる秋の夜長、わたしもこの曲をバックに月を眺め、これまでの人生を振り返りながら涙したい。
『ハーヴェスト・ムーン』収録。
19位:
マンハッタン・トランスファー 「シェイカー・ソング」
ニューヨークの素敵で楽しい夜を彷彿とさせてくれる曲。
ジャニス・シーゲルのVocal、さらにそれと絶妙に絡み合うコーラス・ワークはまるで魔法のよう。
この曲を聴きながら宙に向かってシャンパングラスを粋に掲げたい(笑)
『エクステンションズ』収録。
さて、最後の20位は、同率で二つ同時受賞です。
20位:
ネッド・ドヒニー 「ヴァレンタイン」
まずはミスター・スィートネス、ネッド・ドヒニーの恐らく歴史に残るであろう名バラードを。
甘く、せつない想いを切々と唄い上げる彼の歌声に涙してください。
これを聴くといつも夏の終わりを想ってしまう。
『ハード・キャンディ』収録。
20位:
レッド・ツェッペリン 「貴方を愛しつづけて」
最後の最後に出てきました、ツェッペリン。
これは演歌です。ド演歌です。しかもドラマティック。これだけでそのヘヴィーさは伝わると思いますが、こんなヘヴィーさなら大歓迎です。
プラントの旦那も、ペイジ旦那も、ジョーンズの旦那も、ボーナムの旦那も、皆さん実に息の合った味な演奏と唄を聴かせてくれやす。
長い曲なのですが、これを聴いているといつの間にかコブシを握ってしまっている自分に気付かされます。いい曲ですよ。
『レッド・ツェッペリンⅢ』に収録。
これでBest20(21?)は終わりです。ほかにも紹介したい曲はいっぱいあったのですが。
なので、あと少しだけ曲名とアーティストだけ紹介(順不同)して終わりにしたいと思います。
も、もちろんいいですが、ワタシがリアルタイムで聴いてて好きだったのは
アンダー・プレッシャー featuring デヴィッド・ボウイ(クイーン)
サマー・ブリーズ(シールズ&クロフツ)
アイム・ノット・イン・ラヴ(10㏄)
トゥームストーン・ブルース(ボブ・ディラン)
ジュリエット(リトル・フィート)
アイム・ソー・タイアード(ザ・ビートルズ)
ディーコン・ブルース(スティーリー・ダン)
ユーヴ・ガット・エヴリシング・ナウ(ザ・スミス)
テル・オール・ザ・ワールド・アバウト・ユー(レイ・チャールズ)
ユア・ソング(エルトン・ジョン)
ザ・ベスト・オブ・タイムズ(スティクス)
さすらいのビリー・ザ・キッド
マイ・ライフ(ビリー・ジョエル)
ストレンジ・ボーイ(ジョニ・ミッチェル)